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2018/07/05 15:36

             

ウイルスは人間や動物だけに感染するわけではありません。実は、細菌に対しても感染することをご存知でしょうか?そのウイルスの名前はバクテリオファージ。

 

バクテリオファージとは、細菌に感染して細菌の細胞中で増殖するウイルスのことを呼びます。20面体のサイコロのような頭に足がついた外観をしており、その頭にはDNAが含まれています。地球に存在している細菌や生き物を含めた全てよりバクテリオファージの方が多いのです。

 

感染した細菌内でのみバクテリオファージが増殖し、細菌を溶かしてまた新しい細菌を探すというサイクルを繰り返しています。

 

バクテリオファージを簡単にまとめた動画があるので気になる人はこちらを見てください↓

The Deadliest Being on Planet Earth – The Bacteriophage


 イギリスヘルスケア感染学会によると、抗生物質耐性感染症が原因で毎年70万人がなくなっています。

 

さらに、耐性菌の対策が十分に行われないままの状態だと、2050年までに毎年1000万人の命を奪うようになると予想されています。

2050年で予想される死亡原因ガン820万人、麻疹13万人、コレラ1012万人)

 

引用:Crazy Infographic Shows How Deadly Superbugs Will Be In The Post-Antibiotic Era

  

感染症の治療薬としてバクテリファージを利用?

感染症の治療法としてとしてファージを用いることをファージセラピーと呼びます。近年抗生物質の多用することにより耐性を持った病原細菌が問題になっています。その問題解決のために研究されている分野がバクテリオファージです。ファージは細菌のみに対して攻撃するため人や動植物には無害と考えられています。そのため、ファージセラピーは人だけでなく、家畜などの動物、植物にも利用できる可能性があります。

その他のメリットとして下記の事が挙げられます。

 

①薬剤耐性菌を殺菌することができること

②ファージ耐性菌への対処が抗生物質よりも容易であること(ファージ耐性菌に対してもファージがその細菌に対して適応していくため)

③感染宿主でバクテリオファージ自ら増殖すること

④特定の病原細菌のみを選択的に殺菌可能できること

 

食中毒細菌対策としてバクテリオファージを利用 

現在、ヨーロッパでは人にバクテリオファージを利用することは認められていません。しかし、アメリカのFDA(米国食品医薬品局)は、食中毒細菌(リステリア菌)の殺菌として利用することを認可しました。食品に付着する微生物を軽減するためにバクテリオファージを利用するメリットとデメリットは以下です。

メリット

①食品の味や香り, 見た目, 成分に影響を及ぼさない

②有害な細菌のみを選択的に殺菌できる

③ファージは天然物である

④容易に調製できる

デメリット

①使用するファージの選別が必要である

②高濃度のファージ溶液が必要である

③ファージはウイルスである(人が抵抗を持つ可能性)

 

参考:一般財団法人食品分析開発センター「食品微生物制御におけるバクテリオファージの利用」

 

まとめ 

現段階ではバクテリオセラピーは研究段階であり、実用にはまだ至っていませんが、大規模な臨床実験が行われており、今後にバクテリオファージを使った新たな治療法の認可が下りるかもしれません。

 

また、人以外の分野では食中毒の予防としてすでに使用されています。薬物耐性を持った細菌が今後増えていくと、それに伴い死因の原因になりかねません。

 

抗生物質に頼らない手段として感染する前の予防が非常に大切になってきます。次亜塩素酸水溶液の除菌剤を活用する、手洗いを徹底するなど事前に対策をすることでそのリスクも軽減できるのではないでしょうか。

 

以上、病原細菌をやっつける「バクテリオファージ」とは?薬物耐性菌問題についてご紹介しました。

 

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